【第3話】吃音をごまかして過ごしていた青年時代

高校生になった私は、相変わらず吃音に苦しんでいましたが、段々その状態にも慣れ、なんとか日常生活を送っていました。中高附属の学校だったので、周りも飽きていじらなくなり、特に馬鹿にされることも少なくなったのが良かったのかもしれません。しかし、常に将来への不安に襲われていました。特に働くことに関してです。

高校生になると、周りがアルバイトを始めていました。「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」の決まった挨拶をどうしても言えなかった私は、接客業を避け、”座っているだけでよい”という噂の、プールの監視員のアルバイトを始めました。しかし、そんな簡単なものではなく、場内放送やトランシーバーでの会話もありますし、まともに喋れない人には務まらない仕事でした。私は結局、全体会議の場で自分の名前を盛大にどもって笑われたことをきっかけに、そのアルバイトは辞めました。

この体験からか、高校卒業間際には吃音症が酷くなってしまいました。もう、家から出るのも苦痛でした。

結局、高校を卒業するころになっても、まだ吃音は治りませんでした。

大学生になった私は、数年後に就職活動を控えており、辛い・・・、どうにかしたい・・・。という必死の思いでいました。「就職して自分なんかがまともに働けるのか?」「いや、そもそも採用されるんだろうか?」という不安を抱えてキャンパスライフを送っていました。

しかし、そんな私に幸運が訪れます。周りが就職活動で騒がしくなっていた大学3年生の夏休みの終わり頃、せめて喋ること以外は誰にも負けないようにしようと思っていた私は、就職活動に向けて業界研究などに人一倍取り組んでいました。その結果、就職活動が始まる頃には、なんだか自然と吃音が治ってきていたのです。もちろん、どもることもありましたが、めったにない絶好調の日が毎日続いているような状況でした。その甲斐あって、当時はサブプライムローン問題で企業が採用を減らしていたにも関わらず、複数の企業から内定を頂きました。

次の話【第4話】絶好調の新入社員と吃音の再発

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